キスして抱きしめて
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真夜中に 突然 目が覚めて
カーテンを 開けるとかすかに 光る星
静かに幸せに さびしくやさしく 見てるみたい
触れた指先も 笑い声も 瞳を閉じればすぐに
完璧なあなたを 思い出せるように 私なりたい
利吉さんは、優秀なフリーの忍者です。
いつも多忙でなかなか会えないです。
利吉さんは、父である山田先生に会うついでに私に会いに来てくれます。
「乱太郎に会いに来ているんだよ。」
父上の方がついでなんだと笑うけど・・・本当ならすごく嬉しい。
利吉さんは、次の仕事があるからと指先で頬に触れて口付けをくれます。
「今度来た時は、長い刻を一緒にいよう。」
優しい眸で笑いながら私をその逞しい腕で胸に抱きしめてくれます。
「気をつけて・・・頑張って下さい。」
私は、無事を祈って利吉さんの背中に手をまわし抱きつきます。
利吉さんの身体が私から離れて寂しくなってしがみつきたい衝動にかられます。
だけど、そんなことをして利吉さんを困らせたくないです。
利吉さんと想いが通じてすごく嬉しいのは本当です。
だけど、利吉さんと会えない日々の中で時々真夜中に目が覚めます。
二人を起こさないように部屋を出て廊下に座って空を見上げれば星空が見えます。
「利吉さん。」
それに誘われるように返答があるはずもない愛しい人の名を呟いてしまいます。
星の光に全てを見透かされているようで一人で照れてしまいます。
そして、なんだか寂しい気持ちになってまた星空を見上げます。
優しい星の光一つ一つが利吉さんの眸のように私を見ているような気分になります。
そして、私は、眸を閉じて利吉さんを思い出すのです。
私に微笑んでくれる利吉さん。
私を抱きしめてくれる利吉さん。
私に優しく触れてくれる利吉さん。
いろんな利吉さんが私の脳裏に浮かんできます。
だけど、
もっと、
私は、利吉さんの温もりまでもを思い出したい。
どうしたら離れていてももっと我慢出来るようになれるんだろう。
どうしたら離れていても利吉さんが近くにいるように感じられる私になれるんだろう。
続く
どうやら乱太郎は、不安で寂しいみたいです。
きっと、利吉さんもそうだと思うのですが・・・仕事は完璧にこなします。
利吉さんは、そういう人なのです。
仕事に私情を持ち込まない性質だと思うのです。
「好きな人が出来ても仕事に支障をきたすな」
伝蔵さんがそう教え込ませてそうです。