心魂　７

乱太郎の言葉に利吉は驚きを隠せなかった。

利吉は乱太郎の顔をジッと見つめた。

乱太郎は利吉に見つめられ首筋や耳まで真っ赤にさせていた。

「私たちはそういう仲だったのか？」

利吉の言葉に乱太郎は頷いた。

「なぜ言ってくれなかったんだ。」

乱太郎は寂しく笑って言った。

「だって利吉さん私のこと知らないって・・・それに土井先生のことしか見てなかったし・・・」

乱太郎の語尾が段々と小さくなっていく。

「それに・・・その方がいいのかもって思って。」

「何がいいんだ？」

「私との関係なんて忘れて土井先生とうまくいった方が利吉さんは幸せなんじゃないのかなって。」

「なぜそう思ったんだ？」

「だって利吉さんがなんで私を好きでいてくれるかわかんなかったし・・・

土井先生と話しているほうが楽しそうだったし・・・

私が傍にいても迷惑なだけなんじゃないかって・・・

だから私のことなんて忘れちゃったのかなって思って・・・

それならいっそ私が利吉さんのこと諦めようって・・・・・・でも・・でも傍にいたくて。」

「だから　私の傍にいつもいたのか。」

利吉は乱太郎をギュッと抱きしめた。

「どうやら私があなたにあんな笑顔をさせていたみたいだな。」

乱太郎が利吉を抱きしめ返し言った。

「私はあなたの傍にいてもいいのでしょうか？」

乱太郎は利吉の胸に顔を埋め　返事を待った。

しかし　返事はない。

乱太郎は利吉から離れようとした瞬間だ。

「私こそあなたの傍にいてもいいのでしょうか？」

利吉の言葉に乱太郎は　涙を瞳一杯に溜めて言った。

「どうしてそういうこと言うんですか。

私があなたの傍にいたいのに・・・あなたの熱を感じていたいのに。

私の傍にいて欲しいのに・・・お願いだから私の傍にいて。」

今度は乱太郎のほうから利吉に抱きついた。

そして、そっと利吉の唇に自分の唇を重ねた。それは触れるだけの接吻だった。

「いいのか？」

「いいんです。もう我慢なんてしません。あなたが私以外の人に触れるなんて嫌です。」

「私もあなたに他人が触れるのは耐えられない。」

「もう二度と私を離さないでください。」

「離さない乱太郎。」

乱太郎が利吉を見つめて嬉しそうに笑って言った。

「やっと名前で呼んでくれた。もっと呼んでください。」

利吉は乱太郎の耳元で何回もその名を囁いた。

乱太郎は利吉の首に腕を回し、その声に聞き入った。

そして、何時の間にか乱太郎は押し倒されていた。

続く

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