夏休み　５

「乱太郎、しぶ鬼君、いぶ鬼君朝だよ。ほら！！起きなさい。」

母に勢いよく布団をはがされしぶしぶ起きる３人。

乱太郎は

「メガネ、メガネ」

と探しながらゆっくりと起き上がり着がえ出した。

そして当然のように生着がえに魅入る２人・・・

乱太郎と目が合い慌てて目をそらし２人も着がえ始めた。

朝ご飯も食べ終え３人は家の外の木陰で談話をしていた。

「しぶ鬼はもう身体の調子はいいの？」

乱太郎がしぶ鬼の顔を覗き込む。しぶ鬼は照れ隠しなのか

「あぁ、もうほとんど治ったぜ。忍たまとは鍛え方が違うからな。」

悪態をついた。乱太郎は両頬を膨らませて無言で怪我をしている足を軽く蹴った。

「痛つ・・・何すんだよ。」

「だってしぶ鬼が悪いんだよ。」

「そうだよ。今のはしぶ鬼が悪いよ。」

うんうんと頷きながら乱太郎に賛同するいぶ鬼。

その行動にしぶ鬼は心に中で『いぶ鬼の奴・・・。』と呟いた。

言葉にしてしまったらきっと口だけでは済まなくなるし、何よりしぶ鬼は怪我をしている分不利だ。

黙っているしぶ鬼を心配して乱太郎は

「・・・ごめん。そんなに痛かった？」

シュンと顔を悲しそうに歪めた。その様子に慌てたしぶ鬼といぶ鬼はおろおろしていた。

なんか情けないぞ・・・。おろおろしている２人に聞きなれた声が耳に飛び込んできた。

「・・・なにやってるの２人とも。」

顔を上げた乱太郎がその子たちの名を呼んだ。

「ふぶ鬼に山ぶ鬼ちゃん。」

２人の様子に呆れ気味の２人がそこに立っていた。

こんな所を見られてバツが悪いのか２人はもっとオロオロしていた。

２人がオロオロしている間に乱太郎と山ぶ鬼ちゃんの会話は進んでいった。

「どうして此処にいるの？」

「海に行こうってことになってしぶ鬼といぶ鬼も誘おうと思って２人の家に向かってたのよ。」

「えっ、それじゃ尚更おかしいよ。２人の家に向かってるのに方向が違うよ。」

「途中の茶屋で親切ならっきょう売りさんが教えてくれたのよ。」

回想

茶屋での会話

「魔界之小路先生いきなり海に集合ってなんだろうね。」

「さぁ、でも海っていったらやっぱりたくさんの人と行った方が楽しいわよね。」

「・・・うん。そうだね。」

ふぶ鬼は賛同したが心内では『好きな子と２人っきりの方が楽しいと思うけどな・・・。』と思っていた。

「しぶ鬼といぶ鬼家にいるかしら。」

「いるんじゃない。あいつら暇そうだし。」

「そうよね。可哀想なくらい暇そうよね。」

そんな２人の会話を聞いていた男が口を開いた。

「君たちしぶ鬼といぶ鬼に会いに行くのか？」

いきなりの男の問いに２人は驚いた。

そりゃ見も知らずの人にいきなり知り合いの名を言われたらびっくりもするだろう。

「「なんで！！！」」

不思議そうに聞いてきた２人に男は親切にすべて話してくれた。

「・・・という理由で２人の家にいっても誰もいないよ。それより乱太郎の家に行った方がいいだろう。」

親切ついでに道順まで教えてくれた。

「「どうもありがとうございます。あの・・お名前は？」」

息が合ってるのか２人は同時に口を開いた。

「俺か。俺は通りすがりのらっきょう売りさ。」

そう言って男は去って行った。

回想終了

２人の話を聞いて

『通りすがりのらっきょう売りって大木先生・・・。』

大木の行動が可笑しくてついつい乱太郎は、爆笑してしまった。

何がそんなに可笑しいのかわからないしぶ鬼、ふぶ鬼そして山ぶ鬼は？マークを頭の周りに飛ばしていた。

いぶ鬼だけが嫌な感じになっていた。

そして『あいつわざわざ教えやがって・・・。』心内で言葉使いが悪くなっていたのであった。

そんな異様な雰囲気を打ち破ったのは母であった。遠くから乱太郎を呼んでいた。

「なぁに　母ちゃん？」

「ごめんよ、乱太郎。乱太郎がいない間に一年は組の子たちが来てね伝言頼まれてたんだよ。」

「伝言って？」

「何でも、学園長のおもいつきで海に至急集合だって。」

「え〜〜〜〜！！！早く言ってよ母ちゃん、私急いで行って来るね。」

その後の乱太郎の準備の早いことったら。あっという間に身支度が整った。

「しぶ鬼といぶ鬼も早く準備してよ。私たちも海に集合なんだから。」

山ぶ鬼の言葉に急がされ理由もわからないまま２人の身支度も整った。

「ほら、乱太郎君のお母さんにお礼言ったの。」

愕然としたまま２人はお礼を言った。

「「ありがとうごさいました。」」

「いえいえ、何のおかまいも出来ませんでごめんね。しぶ鬼君無理しちゃ駄目よ。」

「それじゃ、母ちゃん行ってきます。」

乱太郎の声とともに５人は海へと出発した。

至急ということなので乱太郎たちは走った。

なぜドクたまたちまで急いでるのかは気にはなったがとりあえず海へと急ぐ事にした。

しぶ鬼は少し辛そうだがついて来ている。

さすが忍者の玉子　あっという間に海に着いた。

海に着くと同時に

「乱太郎〜。」

一年は組のみんなが乱太郎に駆け寄ってきた。

「遅かったね・・・っていうかなんでドクたまたちと一緒なの？」

ドクたまたちから乱太郎を引き離しながら質問をぶつけてくる。心なしか忍たまとドク玉の間で火花が散ったような・・・。

「ちょっと、待ってよみんな。それより此処で何があるの？」

「さぁ、何でも学園長先生のおもいつきらしいよ。」

「それは知ってる。だから、何をやるの？」

みんながみんな顔を合わせてわからないという仕草をした。

「ふぶ鬼、山ぶ鬼俺たちは何で海に来たんだ。」

「魔界之小路先生に呼ばれたのよ。」

「「何で？」」

「「さぁ。」」

こちらも　みんながみんな顔を合わせてわからないという仕草をした。

　

そこに現れたのが学園長先生だ。

続く

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