幸せな日々 １
大木雅之助（39歳）は、猪名寺乱太郎（16歳）を嫁にもらった。
乱太郎の卒業式間近のある日、大木は求婚したのだ。
「俺と夫婦になって、一緒に幸せになろう。」
それが、求婚の言葉だった。
乱太郎は、大木の勢いに押される形でそれを承諾した。
乱太郎は、最初戸惑っていたようだが今は素直に喜んでいる。
ちなみに仲人は、大川平次渦正即ち学園長である。
そんなこんなで今大木と乱太郎は、幸せな日々を送り始めたのだ。
夫婦となった二人は、向き合って座っていた。
そう、今夜は嬉し恥ずかし『初夜』なのだ。
この日が来るまで大木は、乱太郎に一切手を出さなかった。
どんなに困難な状況に陥っても理性を保たせた。
その忍耐力は、流石一流の忍者といえる。
そして、今日その忍耐力を一気に解き放つ時がやってきたのだ。
大木の目の前には、下を向いたままモジモジとしている乱太郎がいる。
なんて愛らしいのだろうか。
「乱太郎、顔をあげてくれ。」
大木の言葉に従い乱太郎は、ゆっくりと顔をあげる。
頬がほんのりと上気している。そして、これから起こることへの不安からか眸は潤んでいる。
こんな状態の新妻を目の前にして耐えられる男がいるだろうか。いるのならば教えて欲しいものだ。
「乱太郎。」
大木の男らしいゴツゴツした指が乱太郎の頬に触れると乱太郎の身体がビクリと揺れた。
大木は、そんな乱太郎を口元を緩ませながら自分の方へと引き寄せた。
乱太郎は、大木の厚い胸板へと引き寄せられる。
乱太郎の昔のままの短く柔らかく淡い緋色の髪に大木は、唇を寄せた。
乱太郎は、大木の胸に頬を摺り寄せながらその行為を心地良いと思っていた。
「俺と一緒に幸せになれ。」
「はい。」
大木は、髪に寄せていた唇を額に落とした。瞼・目尻・鼻先そして頬と次々と唇を移動させていった。
「んっ。」
大木の唇が乱太郎の耳に到着し、大木は乱太郎の耳に舌をグチョリと差し入れた。
乱太郎は、その感覚に身を捩り逃げようとする。
だが、大木が逃がすわけがなくそのまま乱太郎の柔らかい耳朶を軽く噛んだ。
「お、大木先せぇ。」
乱太郎は、堪らず大木を呼ぶ。もう、自分も大木なのにそう呼ぶところがまた可愛い。
「乱太郎、俺のことは名前で呼べ。」
大木は、卒業してもなお『先生』と呼ぶ乱太郎に苦笑しながらも自分の唇で乱太郎の唇に軽く触れた。
吐息が触れ合う程の距離で大木は、乱太郎の言葉を待つ。
乱太郎は、上目遣いで大木を見つめたり下を向いたりしている。
その仕草は、本当に可愛くて仕方がない。
「乱太郎。」
大木は、乱太郎の顎を掴み乱太郎の口を自らの口で塞いだ。
先程の軽い触れ合いとは違い貪るように大木は、乱太郎の口内を味わう。
息をしようと薄く開かれた乱太郎の唇の隙間から大木の舌が侵入する。
―――ビチャ・・・グチュ・・・
淫らな音が、耳元で響き乱太郎は翻弄される。もう、完全に身体からは力が抜けている。
『ん・・・どうしよう、気持ちいい。』
大木の舌に応えるように乱太郎も自分の舌を大木の舌におずおずと絡める。
もっと、大木を味わいたくて唾液を飲み込むことさえ忘れ滴り落ち床に小さな沁みが現れる。
その行為をそのままに大木の手は、次の行動に出る。
乱太郎の寝着の隙間から手を忍び込ませ固くなり始めている乳首を親指の腹で擦る。
乱太郎の身体がビクリと揺れ、それから逃れようとする。
だが、身体に力がはいっていない状態で逃れるわけも無く左右同じ動きで擦られる。
唇は、塞がったままで乱太郎は這い上がってくる熱い衝動に困惑していた。
『やぁ・・・なにこれぇ。』
実は、乱太郎は、忍術学園で『色』を実戦で教わっていない。
忍者になるということは、そういうことも有りえるということで教わるのが普通だろう。
では、なぜ乱太郎は無垢なままなのか？男の経験が無いのは当然で、女の経験もない。
多少の知識があるといってもそれは本当に知識であって経験ではない。
まず、言えることは乱太郎にその気が全くなかった。
そして、乱太郎を無理やり犯そうとする人たちもいなかった。
そうされない強さを乱太郎は、もっていた。だが、授業は逃れられないはずだ。
男はないにしろ、女とあるはずではないのか。そう、乱太郎も努力してみたのだ。だけど、無理だった。
「そう、無理することもないだろうて。」
学園長の一言で乱太郎の『色』の授業免除が成り立ったのである。
そうでなくても、誰が乱太郎の相手をするかでいろいろと揉めたのだ。
学園長は、乱太郎の相手を決めるのが面倒だったのかもしれない。
それに学園長は、乱太郎の卒業と同時に大木に嫁に出すことを勝手に決めていた。
だから、そんなのは必要ないとも判断したのだろう。
それに、ずっと乱太郎を前にして理性でもって己を制止し続けていた大木を見てきたのだ。
ちょっとした『親心』と言ってもよいかもしれない。
「乱太郎。」
大木の熱のこもった声が、乱太郎の耳に響く。
そして、その唇が固くなっている甘い果実に触れてくる。
「んぅ・・大・・木せん・・せぇ」
甘い吐息と共に溢れてきたのは、大木の名前ではない。
―――カリッ
「やぁ・・・いたぁ・・ん・・」
「名前で呼べって言っただろう。」
乱太郎の果実を口に含ませたまま大木は、言葉を紡ぐ。
その僅かな吐息でさえ乱太郎を更なる高みへと導いていた。
「ん・・・雅之助さん・・」
「さんは、いらん。」
「はぁっ・・・あん・・」
乱太郎は、必死に大木の頭に腕を回し与えられる愛撫に耐えていた。
しかし、それはより大木を自分の胸に押しつけいることになっている。
「積極的だな、乱太郎。」
「えっ・・・そんな・・・ことぉ」
乱太郎は、思わず腕の力を弱めた。そして、大木は、頭をあげ身体を起こした。
「乱太郎。」
優しくそう呼ぶと優しく身体中に口づけていった。
そう行為がなんだか嬉しくて乱太郎は、自然とふわりと笑った。
「・・・雅之助さん。」
「だから、さんはいらんと言うとろうが。」
「つぅ」
大木が乱太郎の首元をガブリと噛んだ。それはもう見事に歯型が残るほどにだ。
「雅之助ぇ」
「なんだ。」
「なんだか、私、雅之助に喰われているみたい。」
「そうだな。乱太郎は美味だろうから美味しくいただくさ。」
「はい。だけど、私なにもかもが初めてなので・・・優しくして下さいね。」
頬を染めてふんわりと恥ずかしそうに微笑む乱太郎は、本当に可愛らしい。
「たっぷりと優しくお前を溶かしてやるよ。」
まだ、まだ時間はある淫らに乱れさせるのはもっと先でもいい、と大木は思っていた。
今日は、一先ず乱太郎を気持ち良くさせるのが先決だ。
大木の手がイヤラシク乱太郎の内股を撫でた。
それに反応して、ビクッと乱太郎の身体が僅かに揺れた。
それに手の動きと共に大木の舌は、乱太郎の身体中を舐めていた。
もう乱太郎の身体は大木の唾液でベッタリと濡れていた。
そして、大木は下帯の上から軽く乱太郎の主張を口に含んだ。
「はぁ・・んぅ・・」
大木が下帯を解いてやるとピョコンと乱太郎の主張が天を仰いだ。
「そん・・・なに・・みな・・・いでぇ・・」
それに大木の息がかかるくらいの距離で見られていたかと思うと、生温かいものに包まれた。
確認するもしないもそれは、大木の口内なわけで。
「だっ・・・そんな・・やぁ・・あっ・・ん」
下から上へと幹を舐め上げられ亀頭を舌先で突付かれた。
「乱太郎。気持ち良いならそう言え。こんなに先走りの汁が出とるぞ。」
「んぅ・・ひゃぁ・・」
その汁を舐められ乱太郎の背中が反る。熱い熱が乱太郎の身体を駆け巡り何も考えられなくなる。
『こういうのを気持ち良いと言うのだろうか。』
乱太郎は、そう考えながら段々と何も考えられなくなっていた。
只、本能のままに大木に促されるままに口を開いた。
「自分が今感じたままを口にすればいいだけだ。」
「き・・・」
「き？」
「きもち・・・いぃ・・・んぁぁ・・ん」
乱太郎の嬌声に満足しながら大木は、一気に乱太郎の主張を全て咥え込んだ。
舌がイヤラシク動き周り、手が睾丸を揉みしだく。
乱太郎の息は乱れ、這い上がってくる衝動に途惑っていた。
「はな・・・はなし・・て、で・・ちゃう」
そんな、乱太郎の懇願虚しく乱太郎は大木の口内に白濁を放った。
ゴクリと大木の喉が鳴る。
「どうした、乱太郎？」
顔を紅に染め乱太郎は、両手で顔を隠していた。
「ん？」
大木は、両手を掴み乱太郎の顔を覗き込む。
乱太郎は、チラッと視線を大木に向けたかと思うとすぐに視線を反らした。
「ごめんなさい。」
「どうして、謝る。」
「だって・・・」
「俺が飲みたいからあぁしたんだ。気持ち悪かったか？」
その言葉に乱太郎は、大木の眸を見つめ口を開いた。
「そんな、すごく・・・気持ち良くて・・・どうにかなっちゃいそうで」
大木は、顔を緩ませ乱太郎の言葉を聞いていた。
「ちゃんと、お・・雅之助も気持ち良い？」
大木に顔を近づけ、呼び名を言い直しながら首を傾げる乱太郎に大木は、やられた。
それはもう直接的に下腹部に熱が集中した。そのまま。乱太郎の頭を固定して乱暴に口づけた。
舌を侵入させ乱太郎の腰に下腹部を摺り寄せる。
熱く固いものが当たる感触に乱太郎は、大木もちゃんと感じていることを知った。
そして、大木の銀糸を引きながら離れた唇が二人の唾液で濡れていて卑猥に見えた。
「雅之助も脱いで。」
そう言って、乱太郎は、たどたどしい手で大木の寝着に手をかけた。
がっしりとした肩や胸が露になって、乱太郎は自然と吸い寄せられた。
肩に唇を落とし、そのまま味わうように大木の胸を舐めた。
「性急だな。」
その言葉に行動を止め乱太郎は、大木を見上げた。
「嫌・・・でしたか？」
乱太郎は、不安気に眸を潤ませていた。
大木は、クスリと笑みを零しその眸に口づけた。
「いや、かなりいい。続けろ。」
大木の身体は、四十近いにもかかわらず整っていた。
腹筋は、割れ無駄な肉がまるで無い。
乱太郎は、先程の大木の行動を手本に舌を這わせた。
「すごぉ」
下帯を早く解いてくれといわんばかりに大木の主張は、膨張していた。
下帯を解くと勢いよくそれは飛び出した。
乱太郎は、ゴクリと唾を飲み込んで大木を見た。
大木は、にっこりと微笑んだ。
「俺のは次の時にしてもらえるか？」
「え？」
乱太郎は、大木の言葉にキョトンとしていた。
「今日は、とことんお前を気持ち良くさせてやるよ。」
大木に引き寄せられ、耳元で甘い声で囁かれた。
「んっ・・・」
その間も大木の両手は、乱太郎の締まっているが柔らかいお尻を揉み解していた。
そして、乱太郎は、大木のしっかりとした胸に力なく倒れこんだ。
その時だ。スルリと大木の指が乱太郎の閉ざされた部分を撫でた。
乱太郎の身体がピクリと大木の腕の中で揺れた。
「やっぱり、きついか。」
大木は、そう言うと身体を屈ませ乱太郎の膝の裏に手をあてた。
そして、乱太郎を仰向けにさせそのまま手を上に上げた。
乱太郎の背中を布団で持ち上げるように固定させ大木は、蕾を開かせるために顔を埋めた。
自分の其処を舌で舐められ乱太郎は、恥ずかしくて堪らなかった。
そして、ペロペロと舐められる度に湿ってくる感触に変な感じになっていった。
「もう・・ねぇ・・まさのすけぇ」
その感覚から逃れたくて乱太郎は、大木に懇願した。
大木は、構わず解れてきた蕾に舌を唾液を侵入させていった。
そして、同時に指も侵入させていった。
ズブ・ズブと入り込んでくる感触に乱太郎は、手を握り締め耐える。
「やぁ・・・うごかさ・・ないでぇ」
侵入させる指を増やし大木は、丹念に乱太郎を解していく。
その中に指を入れたまま、大木は乱太郎に顔を近づけた。
大木の身体が動くと指までもが動く。
「あっ・・ん・・」
ちょうどその時に当たった場所が良かったのだろう。
乱太郎の口から、快楽の声が洩れた。
「ここがいいのか？」
大木が乱太郎の耳元で囁きながら確実にそこを指で押し当てた。
乱太郎の身体がピクンと跳ねた。
乱太郎は、堪らず腕を伸ばし大木の首にしがみついた。
そんな乱太郎に大木は、笑みを洩らし乱太郎の唇に唇で触れた。
「少し、辛いかもしれんが・・・いいか？」
ここまできて、優しく問いかけてくる大木に乱太郎はより愛しさを込み上げた。
「きて、雅之助ぇ」
乱太郎は、大木に縋りついた。大木は、自分の主張を乱太郎の蕾にあてた。
乱太郎の身体が僅かに震えた。ゆっくり傷つけないように大木は、腰を進めた。
乱太郎は、お腹の圧迫感に耐えるように大木の背中に爪をたてた。
「乱太郎、わかるか。全部入ったぞ。」
「すごぉ・・い・・もう・・なかが・・まさの・すけでいっぱい・・」
「動くぞ。」
「ちょ・・っと・・まってぇ」
「待てない。」
そう言い切ると大木は、ゆっくりと腰を動かし始めた。
中を擦られ、奥まで突つかれる動きに乱太郎は、必死についていこうとした。
「はっん・・はぁ、はぁ、あっ・・ん・・ぅ・・やぁ、へん・・に・・なる」
「それが、いいってことだ。『いい』って言ってみろ。」
「んぅ・・あん・・い・・い、いい、きもち・・いい」
乱太郎の感じるであろう場所を必要に大木は、攻めた。
そして、首を反らした乱太郎の首筋に唇をあて、キュッと吸い上げた。
「乱太郎、愛してる。」
大木が強く激しく打ち込んだ瞬間、乱太郎は果てた。
そして、その後大木の身体も振動に揺れ、乱太郎の中に己を注ぎ込んだ。
大木は、力なく自分にしがみついてくる乱太郎を抱き締めた。
「私も、雅之助を愛してる。」
乱太郎は、ギュウと大木に抱きつき小さな声で、でもはっきりと大木に告げた。
朝、乱太郎が目を覚ますと目の前には大木の顔があった。
その顔をジッと見つめて昨夜の情事を思い出し顔を紅に染めた。
大木は、乱太郎を抱き締めるように眠っていた。乱太郎も大木を抱き締めてみた。
大木の身体は、逞しく大木の背中でやっと乱太郎の両手の指先同士が触れ合えるくらいだ。
『こんな格好いい人が私の旦那様なんだ。』
乱太郎は、眸を瞑っている大木の顔に見惚れていた。
そして、チュッと唇で唇に触れた。
乱太郎が唇を離して再度大木の顔を覗き込むと大木の顔は、緩んでいた。
一瞬にして乱太郎の顔は、恥ずかしさから真っ赤に染まった。
「まさ・・雅之助さん、起きてるでしょ。」
「あぁ、乱太郎がお目覚めの口づけをくれたからな。」
お返しとばかりに大木は、乱太郎の唇に触れた。勿論、唇でだ。
「おはよう、乱太郎。」
「おはようございます。」
二人の生活は、始まったばかりである。
続く
平成17年9月2日