消えない想い　１

忍術学園卒業式の日

乱太郎は思い切って長年内に秘めていた想いをきり丸に打ち明けた。

「私は　友達とかじゃなくてきり丸が好き。」

きり丸は、少し考え深い溜息をついた。

そして、一言。

「・・・ごめん。」

乱太郎はこの答えを知っていた・・・きり丸が乱太郎にさえ心を開いていなかったのを知っていたから。

じゃなぜ打ち明けたのか。乱太郎は自分の想いに終止符を打ちたかったのだ。

これからの自分の道に進むために・・・。

何がどうなったのか。

―乱太郎はフリーの忍者の道を

―きり丸は城勤めの忍者の道を

選んだ。

「きり丸。今日でお別れだね。」

「乱太郎？」

「私は自分の想いが治まるまできり丸に会えない。」

「友達じゃいけないのか？」

きり丸の言葉に乱太郎は哀しく笑う。

「もう友達には戻れないよ。」

「・・・そうか。」

「私を見かけても声かけないでね。私がきり丸に会っても平気になるまで待ってて。」

「あぁ。」

「きりちゃん・・・御免ね。私が我侭だから。」

「そんなことない！俺が・・・。」

「俺が？」

「・・・いや。なんでもない。」

きり丸はそう言ったまま　もう何も言わなかった。

そして　乱太郎の一言。

「さよなら。」

きり丸は乱太郎が去った方向をジッと見据え呟いた。

「俺だって・・・乱太郎。」

続く

平成14年8月31日

２