涙の行方 IN御風呂
二回目の口付けは、触れるだけのものから激しいものへと変わっていった。
乱太郎にしてみれば口付けそのものが先刻利吉にされたのが初めてで、今も只、利吉にされるがままになっていた。
どうやって息をしていいのかもわからず息苦しさから自然と利吉から逃げる。
利吉は乱太郎のその行為を許さず奥へ奥へと舌を侵入させ乱太郎の中を堪能していた。
“クチュクチュ” 響く口付けの音が乱太郎をより恥ずかしくさせた。
そんなことはおかまいなしに利吉は乱太郎の歯列をなぞり舌を絡めとり唇を吸った。
「ん・・はぁ・・。」
乱太郎のわずかに開いた唇から吐息が漏れ始め腕は利吉の頭を抱きしめた。
戸惑っていた乱太郎も自ら舌を絡め始めた。
先程よりも響く口付けの音も、もう乱太郎の耳には入っていない。
そんな乱太郎を見て利吉の顔は嬉しそうだった。
“ポチャン” 天井から水滴が落ちる。
その音と共に二人の唇は銀の糸を引きながら離れた。
「気持ち良かった？」
利吉が笑顔で乱太郎に言った。乱太郎は利吉の首筋に顔を埋め小さく頷いた。
「・・・初めてだった？」
乱太郎はまた小さく頷いた。その時の利吉の表情は、本当に楽しそうだった。
そして次の瞬間に乱太郎は利吉に抱えられ浴槽の外に出た。
「利吉さん？」
「身体を洗ってあげよう。」
利吉は有無も言わさず乱太郎の身体を洗い始めた。しかも、手拭いではなく自分の手に石鹸を泡立てて。
ゆっくりと背中から撫でるように、そして乱太郎の肌を味わうように手を動かした。
その手の動きに必死に耐えている乱太郎を見て、利吉は更に楽しそうに手を動かした。
腕の付け根から手を滑らし指を一本一本包み込むように触っていった。
そして後から手を伸ばし乱太郎の背中に自分の胸を押し付けた。
伸ばされた手は乱太郎の胸を優しくなぞった。
「どうかしたか乱太郎？」
利吉の声が乱太郎の耳元で響く。乱太郎は “ビクッ” と身体を反応させながらも耐えていた。
その反応を楽しみながら利吉の手は胸の二つの突起へと動いた。
その瞬間利吉の手に乱太郎の手が重なった。
「乱太郎？」
「あ・・・後は自分で洗いますから・・・。」
瞳を潤ませ乱太郎は利吉に言った。
そんな顔を見せられ利吉が止められるはずもなく乱太郎の言葉は却下された。
利吉は手を二つの突起に触れるか触れないかの所で動かしながら言った。
「駄目だよ。私が全部洗ってあげるから。」
「・・・全部・・？」
「そう全部だよ。」
乱太郎は曖昧な洗いに耐えていた。
利吉の手は胸から肋骨そしてお腹に移り、乱太郎の閉じられている太股を開こうとした。
「乱太郎太股を開いて、でないと全部洗えないよ。」
利吉の言葉に乱太郎は頭を横に振る。
「しょうがないな。」
そう言って利吉は乱太郎を抱え上げ浴槽の淵に座らせた。
上から恥ずかしげにそして心配そうに見つめてくる乱太郎のおでこにそっと唇を落とした。
そして乱太郎の足の指から洗い始めた。利吉の指は乱太郎の肌に絡みつくように上へ上へと昇ってくる。
太股まできた。しかし乱太郎はしっかりと閉じている。手は必死に耐えるように浴槽の淵を握っていた。
利吉は乱太郎に気付かれない様に “クスリ” と笑った。
実際乱太郎は自分に襲い掛かってきている初めての感覚に抵抗していて気付くどころじゃなかった。
乱太郎の太股を下から上へと利吉は指で撫で上げた。乱太郎の身体は小刻みに震え、それでも必死だった。
利吉は太股を中心に柔らかくそして優しく洗う。ふと乱太郎の手が利吉の目に止まった。
「そんな風に淵を握っていたら疲れるだろう。」
利吉は力の入った乱太郎の指をゆっくり淵から剥がして自分の肩の上に腕を乗せさせた。
乱太郎は自然と利吉の肩におでこを乗せる格好となった。
その瞬間利吉は乱太郎の股を開かせ股の間に身体を忍び込ませた。
利吉の首に巻かれている乱太郎の腕に力が入る。
「こっちにおいで乱太郎。」
利吉は乱太郎の耳元で囁いて乱太郎を抱き上げた。
傍からみれば乱太郎が利吉に抱きついているような格好になっていた。
乱太郎と利吉の胸がすり合う様に二人は “ギュウ” っと抱きしめあった。
「利吉さんも・・・泡まみれですね。」
乱太郎がやっと笑顔を見せた。
利吉は乱太郎の背中を “ポンポン” とまるであやすよう柔らかく叩いた。
乱太郎は利吉に身体をあずけて言った。
「・・・続きしないんですか？」
かなり恥ずかしかったのだろう。
先程の行為でほんのり紅くなっているのとは違う紅さが耳や首までもを覆っていた。
「してもいいのか。」
止める気などさらさらない利吉が一応言葉にする。乱太郎が頷く。
「何をするかわかってて言ってるよな？」
乱太郎の耳を甘噛みしながら囁く。乱太郎は意を決して言った。
「利吉さんになら・・・何されてもいいです。」
それは本当に小さな声だった。利吉が聞き逃すはずもなく洗いは本格的な愛撫となっていった。
乱太郎は感じたことのない感覚から自分でも信じられないような声を出すのを堪えていた。
「乱太郎を我慢しなくていいんだ。声を聞かせてくれ。」
「でも・・・っあん・・はぁぁん。」
利吉が首筋を軽く噛み舌でなぞりそして吸った。
その瞬間乱太郎は耐えきれなくなり声をあげた。乱太郎の声がお風呂場に響き渡り 乱太郎はまた唇を噛む。
「そんなに強く噛んだら痛いだろ。」
利吉は乱太郎の唇を舌で“ペロッ”と舐め口付けた。
口付けをしながらも利吉の手は、乱太郎の隠された場所へと伸びていた。
「ん・・いゃぁ・・・そんな・・とこぉ・・」
乱太郎の拒絶の声は利吉からの口付けによって飲み込まれる。
利吉は自分の手に泡をつけ指を乱太郎の未発掘の場所に侵入させた。
その瞬間乱太郎は腰を浮かしてその侵入を阻もうとした。
しかし利吉に腰をしっかりと押さえ込まれ進入を許した。
「んぁ・・はぁ・・・いたぁ・・りきちさぁ・・・ん・・ぬ・・いてぇぇ」
乱太郎の言葉など無視して利吉は指を二本三本と増やしていった。
乱太郎はお腹の異物感に身を震わせ押し寄せる痛いだけじゃない感情がなんなのかわからないでいた。
しかも利吉のあの長い指が自分の中に入ってると思うだけで乱太郎は堪らなかった。
「乱太郎すごいな。泡だけで指が入っていくよ。何本入ってるかわかるか？」
利吉は乱太郎の中でその長い指を曲げたり押し込んだりかき回したりして指の存在を主張させた。
「くぅ・・・あぁぁん・・そんなの・・・わか・・んなぁい」
乱太郎が必死に言葉を絞りだす。
「でも本当に嬉しいよ・・・前なんてまったく触っていないのに こんなに感じてくれるなんて。」
利吉は下腹部で存在を主張している乱太郎自身を見た。
利吉に見られているというだけで乱太郎の其処は反応を示す。
「私に見られるだけで興奮してくれるんだ。」
そう言って利吉は乱太郎の中に入れていた指を抜き取り乱太郎を抱え上げた。
そして湯船に浸かった。
「こっちの方が楽だろ。」
利吉の言葉が理解出来ず乱太郎は息を整えながら潤んだ瞳で利吉を見上げた。
その瞬間乱太郎の双山が押し広げられた。
「やぁ・・・なん・・お湯が・・はいってくるぅ・・・んぁ。」
「乱太郎きついのは最初だけだから力を抜いて。」
利吉は乱太郎の瞳から溢れる雫と舐め上げ自らを乱太郎の秘部に押し当てて侵入を開始させた。
お湯が潤滑油の代わりになったのだろう。
乱太郎は指とは比較にならない質量のモノを “ズブズブ” と受け入れた。
「ほら乱太郎見てごらん。乱太郎のお腹波打ってるよ。」
自らをすべて飲み込ませ利吉が楽しそうに乱太郎のお腹を撫でる。
「やぁ・・なん・・かへぇ・・ん」
乱太郎は自らの理性を保つかのように利吉にしがみついた。
「どう変なんだい。」
利吉が乱太郎の耳元で囁くだけで乱太郎の身体にゾクゾクとした感情が走る。
利吉は乱太郎の中で性急には動かず緩やかに曖昧な衝撃を与え続けた。
「り・・きち・・さぁん・・なんか奥の方が・・・ムズムズしまぁ・・す」
乱太郎は無意識なのだろう。自ら腰を揺らし始めていた。
「んぁ・・・りきち・・さぁぁぁん」
自分ではどうにもならない衝動に乱太郎は利吉に助けを求める。
ボロボロと雫を落とし腰を揺らし利吉に懇願する乱太郎。
なんて扇情的な光景だろう。
利吉は乱太郎を仰向けになるよう抱き上げ一気に突いた。
「あぁぁぁぁぁぁ・・・」
乱太郎の艶かしい声がお風呂場に響いた。
利吉は休む事無く腰を動かし乱太郎が感じると思われる点を突いた。
「いやぁ・・・そこ・・あ・・んぁ」
乱太郎はその瞬間イッタ。それでも息つく間もなく攻め立てられる。
利吉は乱太郎の唇に唇を落とし。再度頭を持ち上げ始めた乱太郎自身を握った。
「！！！！！」
乱太郎の声は利吉に飲み込まれ乱太郎は利吉にしがみついていた。
唇が離れて利吉が放った言葉は
「一緒にイコウ。」
乱太郎は二度目の頂点を迎える寸前だった。
そして利吉ももう耐えられない状態のところまできていた。
利吉は握っていた乱太郎自身を離し奥まで一気に突いた。
「あぁぁ・・・んぅぁ・・ん」「くぅっ・・。」
二人は同時に果てた。
「・・・乱太郎。」
利吉が乱太郎の身体をゆっくりと抱きしめ抱えるように湯船に腰を下ろした
意識を失っている乱太郎を見て利吉は反省する。
「やりすぎかな・・でもしょうがないさ。ずっと我慢してたんだ。」
利吉は乱太郎の頬に唇をソッと落とし乱太郎の身体を今度は綺麗にする目的のだけために洗い始めた。
乱太郎が目覚めた時、其処は布団の中だった。身をよじろうとしてもよじれない。
どうやら誰かに抱きしめられてるみたいだ。乱太郎はぼんやりした頭で考えた。
『誰だろう・・・。』
そうして思い出すのは先刻の情緒。そう乱太郎を抱きしめて眠っているのは利吉だった。
乱太郎は利吉の胸に顔を摺り寄せた。
『利吉さんの匂いだ・・・なんだか安心す・・る。』
乱太郎は、また深い眠りへとおちていった。
終了
平成14年9月11日