セカンドKISS

「乱太郎？・・・乱太郎!!!」

土井の問いかけに乱太郎の身体がビクッと跳ねた。

「どうした乱太郎。ここ最近前以上にボ〜としているぞ。」

そうあの出来事以来乱太郎は誰の目から見てもボ〜としていた。

「すいません。」

顔を俯かせて謝る乱太郎の頬は微かに桃色だった。

授業終了後土井は乱太郎に告げた。

「乱太郎。今日の夜私の部屋に来なさい。」

土井はあの出来事後大木と話をしていた。

「大木先生・・・あなたは何をやってるんですか。」

土井の問いに大木はしれっと答えた。

「誰かにやられるくらいならワシがやっとかねぇとな。」

その言葉に土井は呆れる。

「あなたが一年の頃から乱太郎を見ていたのは知ってましたが　まだ早かったんじゃないんですか？」

土井の台詞に納得いかないのか大木が反論した。

「乱太郎はもう５年でしょう。早めに手を打っとかないと今更誰かに盗られるのは我慢できませんからね。」

そう乱太郎はもう５年生なのだ。忍術の腕もメキメキと上達している。そしてなにより乱太郎には人を惹きつけるなにかがあった。

それ故に今まで誰も乱太郎に手を出さなかったのである。

「本気なんですね？」

土井が真剣に大木に聞く。

「当たり前でしょう。」

大木はさらっと答えた。

「乱太郎。最近ボ〜としているのはあの出来事の所為か？」

土井は単刀直入に聞いた。

それを聞いた乱太郎は“ボンッ!!!”と一気に真っ赤になった。

それを見て土井はしみじみ思った。

『あの人はこんな純な子に・・・。』

そして土井は今の乱太郎の気持ちを聞きだした。

「なんであの出来事でボ〜とするんだ。忘れられないのか?」

乱太郎は土井の台詞に余計に真っ赤になった。

そして静かな沈黙の後乱太郎は話し出した。

「私、初めてだったんです。」

「うん。」

「いきなり強引に唇奪われちゃって・・・何がなんだかわかんなくて。」

「うん。」

「・・・・でも・・・でも・・・すんごく気・・持ちが・・・・良くて・・・・。」

「うん・・・って　気持ち良かったのか？」

「そんなはっきり聞き返さないでくださいよ。」

乱太郎は土井の言葉にもう話したくないといった風な態度をとった。

「・・・すまん。取り乱した。続きを話してくれ。」

乱太郎は土井が素直に謝った事でまた話を再開させた。

「とろける様な気持ちになって、あの日以来あの事ばっかり考えちゃって、こんな事考えちゃいけないって頭ではわかってるんですけど、忘れられなくて。」

「忘れられないのはキス？それとも大木先生？」

いきなりの土井の問いに乱太郎は目を丸くした。土井は質問を続ける。

「大木先生以外にキスされていたとしても今の状況になっていたか？」

土井の問いに乱太郎は一生懸命頭を働かせた。しかし恋愛に疎い乱太郎はパニック状態である。

「例えばだ私が乱太郎に今キスをするとする。」

「えっ。」

乱太郎は思わず後ずさりした。

「例えばだ。そうしたら乱太郎お前は次はそのキスを思い出してボ〜とするか？」

「・・・そんなのわかりません。」

乱太郎の言葉をまたずして土井が乱太郎に近づく。そして息がかかるぐらいまで顔が近づいた時。

「先生・・・土井先生たんま。」

乱太郎は土井を押しのけた。押しのけられた土井は苦笑していた。

「乱太郎お前はまがいなりにも忍者だ。お前が本当に嫌だったら大木先生からのキスもさっきの様に止める事が出来たはずだ。乱太郎俺が言いたい事わかるだろう？」

「？？？？」

「まだわからないか（本当に鈍だな）はっきり言う。乱太郎お前が忘れられないのは大木先生だろう。」

乱太郎は少し考えて

「そうなのかなぁ・・・。」

小さい声で呟いた。その時だった。

「そうなんだよ。」

乱太郎はいきなり誰かに抱きつかれ耳元で囁かれた。乱太郎はその囁きに“ドキッ”としながら振り向いた。

そこには大木がいた。大木は乱太郎を抱きしめながらおでこ・瞼・目元等にキスを落としていった。

乱太郎は抗うという態度はみせずただ成すがままになっていた（単に大木の力が強いだけ）

そしてこの前よりもより激しい口付け・・・優しい口付け。

さぁこれからという時大木は思いっきり頭を殴られた。

「何すんだよ。土井先生。」

土井は静かに言った。

「いいかげんにしてください。乱太郎のためを思って協力しましたけど私の目の前でそれ以上はさせませんよ。」

土井は一年の頃から乱太郎の担任なのだ乱太郎が誰を密かに思っているかはわかっていた（土井先生でもわかってたのにね）

だからこそ悩まさずはっきりさせようと今日乱太郎を呼んだのだ。

当の乱太郎とはいうと口付けがよほど気持ち良かったのか大木の腕の中で眠っていた。

「なぁ、土井先生。」

「なんですか。」

「このまま乱太郎連れて帰ってもいいですか？」

大木の問いに土井はにぎり拳を震わせて言った。

「駄目に決まってるでしょう!!!!!」

そして今日も土井先生は胃を痛めるのでした。

終了