初めてのKISS

中庭の掃除中、数人が話していた。

「なぁ、キスってした事ある？」

それを聞いたきり丸・庄左エ門・虎若が固まった。

それもそのはずその質問をしないような人がしたからだ。

「な・なんでそんな事聞くんだ乱太郎？」

きり丸がどもりながら聞いた。

「えっとね。ユキちゃんたちが“５年生にもなってキスもした事ないなんてねぇ”って言ってたの聞いたんだ。」

乱太郎ははっきり答えてくれない３人に再度言った。

「ねぇ。みんなはキスした事あるの？」

三人は黙ってしまった。

「ふ〜ん。黙ってるって事はみんな経験済みなんだぁ。」

乱太郎は一人納得していた。まぁつまりはそういう事だ。

「乱太郎、キスなんてそんないいもんじゃないぞ。」

「そうそういずれ時がきたら必ずするんだから。」

「それに乱太郎相手がいないだろう？」

最後の言葉に乱太郎は何も言い返せなかった。そう乱太郎にはまだ特定の相手がいないのだ。

気になっている人はいるのだが・・・。会話の途中木の上から声が聞こえた。

「乱太郎、そんなにキスをしてみたいのか？」

言葉とともに大木雅之助が降ってきた。

その瞬間乱太郎の顔が赤くなったのだがその事には誰も気がつかなかった（ただ一人を除いては）

大木は他の連中には目も向けず乱太郎に近づいていった。

そしていきなり抱きしめて乱太郎の耳元で囁いた。

「ワシがしてやるよ。」

そして大木は乱太郎のまだ誰も触れた事がない軟らかい唇に自分の唇を重ねた。

乱太郎は大木の行動に驚きながらもそのキスを受けていた。

（まぁ受けていたというかほとんど放心状態だったのだが）

抵抗しない乱太郎に気をよくしたのかそのキスは徐々に激しいものへと変わっていった。

そして乱太郎の薄く開かれた唇の中に自分の舌を侵入させていった。

乱太郎は初めて感じる他人の熱さからとっさに逃げようとしたが逃げ切れずはずもなく易々と絡めとられてしまった。

そして息苦しさから漏れる吐息はより大木を楽しませていた。

『初めてでこんだけ感じてんのか。逃げねぇし。こりゃ脈ありか。』

などと思いながら大木はキスを止めないでいた。

それを呆然とみていた３人は

「はぁ〜・・・ん・・・」

という乱太郎の喘ぎにも似た吐息で我に返り一斉に大木に向かって手裏剣を投げた。

「危ないな。乱太郎に当たったらどうすんだ。」

大木は乱太郎を抱き上げさっと避けた。

乱太郎といえばもはや自分の力では立てないのか大木に自ら抱きつく様な格好になっていた。

初めてのキスだったのだ経験のない乱太郎はもう何が何だがわからなくなっていた。

そんな乱太郎を見て大木はニヤリと笑った。

「気持ち良かっただろ。」

大木の言葉に乱太郎は顔を真っ赤にしながら頭を横に振った。

「乱太郎は嘘つきだな。そんな物欲しそうな顔してんのに。」

そう言って乱太郎に囁いた。

「またやってやるよ。その代わり他の誰ともこんな事するんじゃないぞ。」

大木は乱太郎のおでこに優しいキスを落とし

「じゃワシは学園長に用があるんで。」

そう言ってその場から去っていった。

乱太郎たちは呆然と去っていく大木を見送る事しか出来なかった。

乱太郎が三人に一言

「嘘つき・・・」

乱太郎の言葉に？マークを三人が飛ばしたとか飛ばさなかったとか。

「なにが？」

問いかけに乱太郎は答えなかった。

『とろけるかと思うぐらい・・・気持ち良かった。』

そう乱太郎の中で大木とのキスは忘れられないものになっていくのである。

終了

平成14年2月13日