抱擁

きり丸が私に抱きついて来る様になったのはいつからだろう・・・

きり丸に聞いたら「覚えてないな」だって。別に抱きつかれるのは嫌じゃない。

最初の頃は抱きついてくるのは二人きりの時だけだったのに最近じゃみんなの前でも抱きついてくる。

これは結構恥ずかしいから「止めて」って言ってるのに聞いてくれない。

まぁきり丸も時と場合を選んでるみたいだから別に今は気にしてないんだけどね。

時たま気になるのが女の子の視線かな。きり丸かっこいいから女の子の私の見る目が恐いんだよね。

きり丸も私よりも女の子を抱きしめればいいのに・・・きっと柔らかくて気持ちが良いと思うのだけれど。

一度そんな事をきり丸に言ったら「乱太郎も十分柔らかい」だって。

失礼だよね。私は女の子じゃないのにね。

俺が乱太郎に抱きつく様になったのはいつからだろう・・・

乱太郎に聞かれたから考えてみたけどそんなの覚えてないさ。いつからか無意識に抱きつく様になったんだし。

乱太郎も別に嫌がってる風には見えなかったしな。最初は二人きりの時だけ抱きついてた。

でも最近それだけじゃもの足りなくて、んなの前でも抱きついてる。

乱太郎に「止めて」って言われたけど無視して抱きついてたら今じゃ何も言わなくなった。

俺だって時と場合を選んでるしな。

乱太郎は「きり丸に抱きつかれてたら女の子の視線が恐い」って言うけどあんなの放っておけばいんだよ。

反対に俺は男たちに優越感を感じてる。乱太郎は鈍感だから男の視線には気付いてないだよな。

しかも乱太郎のやつ挙句の果てに「私じゃなくて女の子に抱きつきなよ」って言うんだぜ。

ひどいよな。乱太郎だから気持ちが良いんじゃないか。そんな風に言ったら乱太郎なんか怒ってたな。

怒っても仕方ないさ。俺は乱太郎以外を抱きしめたいなんて思ったこともないんだから。

きり丸は今でも私に抱きついてくる。

最近抱きつくだけじゃなくて、いろんな所も触ってくるんだ。髪の毛、顔、耳、首、腕・・・等本当にいろんな所を。

最初こそばかったから「くすぐったいから止めて」って言ったらきり丸がなんだか捨てられた子犬の様な目をしたから　それ以上強く言えなかった。

今では慣れちゃってもうこそばくないんだけどね。でも時々困る事があるんだ。

きり丸に触られると触られた所がなんだか熱い感じがするんだ。

自分でもよくわかんないんだけどね。それときり丸が時々すごく苦しそうな表情をするんだ。

私のこと抱きしめるの嫌になったのかな？でもそれだったら抱きしめるのを止めるよね。

きり丸に理由を聞いても教えてくれないし・・・

今でも俺は乱太郎に抱きつている。

最近じゃいろんな所も触らせてくれるようになった。乱太郎って筋肉の調った無駄のない身体のわりには柔らかいんだよな。

最初の頃は嫌がられたんだけど俺がちょっと哀しそうな顔をしたら「いいよ」って言ってくれた。

乱太郎の優しさにつけこむみたいだけど　しょうがないよ。だって俺が触りたいんだから。

でも時々困る事があるんだ。

無意識なんだろうけど俺が触ってる時の乱太郎の表情がすごく・・・すごく可愛いくて時折何かに耐えてるような顔になるんだ。

はっきり言って堪んない。俺の理性いつまで持つだろう。

乱太郎を抱きしめられなくなるのは絶対に嫌なんだ。でも“抱きしめて触ってそれ以上のこともしたい”なんて言えないよな。

最近私おかしいのかもしれない。

最近俺は理性を保てなくなってる。

きり丸にもっと触ってもらいたい・・・なんて変だよね。

乱太郎の反応がすごく愛しいんだ。

なんだか触ってもらうだけじゃ足りないみたい・・・私。

でもそれをどう伝えればいいのかわかんないんだ。

最近乱太郎がいつも何か言いたそうに見つめてくるんだ。

でも見つめてくるだけで何も言わない・・・その瞳だけでも十分俺を煽ってるってわかんないかな。

わかってないんだろうな。

もっとギュッと抱きしめてもらえば答えが出るかな？

そう思って「きり丸いつもよりもっと強く抱きしめてみて」って言ってみた。

乱太郎の言葉に少し驚いたが俺は乱太郎の望みどおりいつもより強く抱きしめた。

抱きしめられてわかった事があった。

私どうやらきり丸に抱きしめられるのがすごく気持ちが良くて好きみたい。

だからその気持ちをそのままきり丸に伝えた。

そしたらいきなり私の唇に柔らかいものが触れた。最初はそれがなんだかわかんなかったんだけどもう一度触れられてわかった。

どうやらきり丸にキスされてるみたい。二度目のキスは触れるだけじゃなかった。

でも嫌という感情は何処にも無くて私はただただ成すがままになってた。

抱きしめて俺は本当に乱太郎が好きだと感じた。

そう思ってた時乱太郎が俯いたまま嬉しいことを言ってくれた。俯いていても顔が真っ赤なのがわかった。

だから俺の理性は完全に吹っ飛んだよ。

最初は軽く口付けて二度目はもう夢中で乱太郎の口の中を貪った。

長くて深いキスが終わって私は一つの結論に達した。

もの足りないキスを終えて俺は決心した。

「きり丸（乱太郎）好き（好きなんだ）・・・」

二人同時の告白

二人は顔を見合わせ笑った。

「なぁ乱太郎キス以上の事もしてもいい？」

きり丸の手は乱太郎の答えを聞く前に愛撫を始めていた。

「・・・恐いけど・・・いいよ。きりちゃんになら。」

乱太郎の囁きはきり丸の愛撫をより激しいものにさせた。

終了

平成14年3月11日