始まり

乱太郎は、走っていた。兎に角出来る限り早くそこから離れたかった。

後の方から聞こえる声など乱太郎の耳には入らない。

「ごめん。私先に帰るね。」

乱太郎は、きり丸たちに無理やり遊びに連れ出されていた。

そこできり丸たちが女の人たちと遊ぶような店に入ろうとした。

「私気分が悪いから。」

「そうだったら中で休めばいいだろ。」

店先のお香の匂いで乱太郎はもう駄目だった。

だから、乱太郎はきり丸の手を振り切ってそこから駆け出した。

無我夢中に走ったので乱太郎はすぐに学園に着いた。

胸の辺りの服を掴みハァハァと息を切らす。

息を整え裏門を静かに開け乱太郎は自室に戻ろうとした。

でも、戻れなかった。

僅かな月明かりの下に見つけてしまったから。

「兵太夫、眠れないの？」

「んぁ。」

兵太夫が顔を空に向ければそこには乱太郎の顔があった。

「お前、きり丸たちに連れて行かれたんじゃなかったか。」

乱太郎は、兵太夫の隣に座り苦笑した。

「逃げてきた。」

「そうか。」

呆然としながらもしだいに兵太夫の顔が緩んでいったのを乱太郎は知らない。

「兵太夫は？」

「なにが？」

「もう経験済みなんでしょ。」

「そりゃまぁ、健全な男の子だしな。」

兵太夫の言葉に乱太郎は、膝を抱えシュンとしてしまった。

「私って健全じゃないのかな？」

なにやら落ち込んでいる乱太郎に兵太夫は問いかける。

「なぁ。」

「なぁに。」

「乱太郎ってシタクならないのか？」

「なにを？」

言葉で説明してもどうせわからないだろうと兵太夫は、自分の手で乱太郎の陰茎を服の上から擦った。

「な・なにすんのさ。」

乱太郎は、その場から離れようとしたが兵太夫がそれを許さなかった。

「ここが疼くようなことないのか？」

兵太夫は、手を休めずに上下に優しく撫でた。

「んぅ・・やぁ。」

「なぁ、どうなの？」

「ない。」

そう乱太郎には、皆みたいに女の人の裸を見ても身体が熱くなるような衝動はないのだ。

それに夢で悶えて朝にはスッキリというもの乱太郎には無い。

離してとばかりに両腕をツッバリ兵太夫を睨みつける。

「乱太郎。」

「なに。」

身構える乱太郎に兵太夫は、クスリと意地悪く笑った。

そんな表情に乱太郎は不覚にもドキリとしてしまった。

バクバクバクとなぜか高鳴っていく鼓動。

「だから、なに！」

兵太夫は、乱太郎を抱え上げた。俗に言うお姫様抱っこだ。

「おっし、教えてやる。」

「だから、なにを！」

「気持ちいいことだよ。」

そうして、乱太郎は兵太夫の部屋に連れ込まれた。

兵太夫は、乱太郎を後から抱き締め乱太郎の首元に顎を乗せていた。

「ほら、こうやってこう。自分でもやってみろって。」

乱太郎よりも大きな身体は、乱太郎をすっぽりと自分の腕に収めている。

「やぁ、そんな出来ない。」

「出来ないことないだろ。」

兵太夫は、乱太郎の手に自分の手を重ねて先端から滴り落ちる白濁で濡れる幹をゆっくりと擦った。

「んっ、ハァ・・あっ」

乱太郎の身体がビクビクと兵太夫の腕の中で揺れる。

その反応が面白くて兵太夫はどんどん手の動きを激しくさせていった。

幹をキュウっと握り白濁が溢れる先端を指先でグリグリと弄れば乱太郎の口からは甘い吐息が漏れる。

「へい・・だ・ゆう・・やだぁ・・・」

「やだじゃなくて気持ちいいだろ。乱太郎。」

兵太夫が耳元で囁けば乱太郎の陰茎がまた少し膨張した。

「なに、乱太郎お前って耳弱いんだ。」

「あぁ・・・そんなこと・・・うぅ・・あん」

フゥ~ッと息を吹きかけられ乱太郎は自分の声とは思えない程の甘い声をあげた。

そして、涙を溜めた潤んだ瞳で物欲しげに乱太郎は兵太夫を見つめた。

「兵太夫ぅ・・・なんか出ちゃいそう。」

その表情があまりにも可愛くて妖艶で堪らず兵太夫は、唾を飲み込んだ。

「兵太夫？」

動きが止まってしまった兵太夫に乱太郎は、切なそうな顔を魅せた。

兵太夫が幹を握っていて出そうなのに出せないのだ。

「あ、ごめん。うん。出そうな。」

兵太夫は、握っていた手を緩めより急速に手を動かした。

「あっ・・・ん・・はっぁぁっん」

乱太郎は、兵太夫の胸に倒れこみ息を乱す。

「ハァハァハァ・・・ハァハァ」

「な、気持ち良かっただろ。」

兵太夫に頭を撫でられ乱太郎は、その行為が心地良くて小さく頷いた。

「ん？」

乱太郎が兵太夫の身体に擦り寄った時太股になにか固いモノが当たった。

なんだろうと手を伸ばした瞬間、慌てたのは兵太夫だ。

「ほら、乱太郎早く身体拭いて服着ないと風邪ひくぞ。」

兵太夫は、乱太郎を自分から離れさせその身体を拭いた。

乱太郎の精液が飛び散って乱太郎の身体中が液にまみれていた。

兵太夫は、丁寧にそれらを拭き取っていく。

「舐めとりてぇ。」

「え？」

どうやら心に思っていたことが口に出たらしい。

兵太夫は、乱太郎にちゃんと聞こえてないことに安心しながらそれを更に曖昧にさせた。

「なんでもない。」

「そう。」

そして、乱太郎は身体を拭かれながらどことなくムズムズする感覚に困惑していた。

終了

平成17年12月27日