焦がれて鳴いて

夜も更け眠りが深くなる頃、きり丸は自分の背中のすぐ近くに感じる気配と感触で静かに目を覚ました。

「どうした乱太郎。眠れないのか？」

しんべヱが里帰りしているのできり丸と乱太郎は布団を並べて寝ていた。

間にしんべヱを挟んでいてもこういったことは多々ある。

乱太郎はきり丸の背中の寝着をギュウッと握り背中に額を押し付けていた。

乱太郎の身体が震えているのだろう、微かな振動が背中からきり丸に伝わっていく。

「乱太郎ちょっと手の力緩めてくれるか？」

「・・・ぅん。」

最初の頃はどんなに宥めても一向に手を緩めてもらえずきり丸は寝着を脱ぐ形となっていた。

きり丸の言葉どおり力を緩めた乱太郎の方にきり丸が寝返りをうつ。

きり丸はゆっくりと乱太郎を抱き寄せる。自分の胸に乱太郎を引き寄せ乱太郎よりも大きい手で乱太郎の頭を優しく撫でる。

「恐い夢でも見たのか・・・ん？」

きり丸は乱太郎の髪を指で梳きながら額に目尻に頬に・・・唇を寄せた。

その行為に安心するのか乱太郎は身体の震えを止め安堵の様子を見せる。

きり丸の行為は止まらず最終的には鼻先を舌でぺロっと舐めて唇を唇で塞ぐ。

それを待っていたかのように乱太郎は自ら薄く唇を開ける。

唇を合わせたままきり丸は舌を乱太郎の口内へと侵入させていく。

「ん・・・」

掠れるような息苦しいような吐息が乱太郎の口の隙間から漏れ出す。

きり丸は乱太郎を安心させるためにより深くフカク味わっていく。

そして、きり丸の舌を求めるように乱太郎の舌はより激しく絡まる。

それはまるで乾きを潤わすかのようだ。

「ハァ・・・ぅ・・・んぅ・・」

乱太郎はきり丸の首に腕を廻す。グチャグチャと淫らな響きだけが二人にまとわりついている。

永い口付けは銀色の糸を引きながら終了を告げる。

きり丸は乱太郎の唇を綺麗にするように舌で舐め、自分の唇も舌で舐めた。

その行為に乱太郎はクスクスと笑みを漏らす。

「なんだよ。」

「ん・・・きり丸綺麗だなって。」

歳を重ねるにつれて乱太郎ときり丸は対照的になっていた。

乱太郎は身長があまり伸びないのに対してきり丸は伸びていた。その差はもう十cmにはなっている。

きっとこれからもその差は開いていくのだろう。

乱太郎にもそれなりの筋肉はついている。しかし、きり丸と比較するとそれは弱々しく見える。

乱太郎はきり丸に劣等感を感じてる？

否、それよりも憧れの感情の方が勝っているのだろう。

だから、乱太郎は夢を見る度にきり丸の寝床に忍び込んでいるのだ。

自分には持ち得ない肉体を欲している。

「きり丸。」

乱太郎がきり丸に腕を伸ばすと、きり丸はその腕を掴み自分の方へと引き寄せた。

乱太郎の首筋に舌を這わせそれは胸の紅く主張している場所へと向かう。

「もう硬くなってるな。」

いぢわるな瞳が乱太郎に向けられる。その度に乱太郎の体温が上昇して鼓動が高鳴っていく。

「だって・・・きり丸が・・・」

「俺が何？」

「・・・なんでもない。」

プイッと顔を背けるときり丸が胸の上でクスリと笑っている感じがした。実際笑っていたのだけれど・・・。

―――コリッ

「！・・・きり・・丸。いきなりかま・・・ぁぁ・・・はぁ・・ん」

硬く主張しているそれを軽く噛み舌で押しつぶし吸う。

乱太郎はそれだけでもう我慢出来そうになくて必死にきり丸の頭に腕を巻きつける。

その仕草はまるでもっととせがんでいるようできり丸は加減なく弄ぶ。

高まっていく身体の体温・鼓動とは裏腹に乱太郎の瞳は冷静にきり丸の肉体を留めていた。

忍術以外で即ちバイトで鍛えられた肉体は乱太郎には眩しいくらいだ。

「きり丸・・・また焼けたねぇ。」

「あ？・・・あぁ、最近外のバイトが多いからな。」

乱太郎は身体を起こしきり丸の鎖骨にそって唇を舌を滑らす。痕をつけるのではなくただ味わうように忘れないように。

乱太郎の手はきり丸の胸を撫で肋骨をなで腹筋を撫でそれを追うように唇が舌がきり丸を味わっていく。

そしてきり丸の男の主張に手をかけようとした時だ。

乱太郎は足首を掴まれ引っ張られた。

「乱太郎も触って欲しいだろ。」

きり丸が乱太郎の股の間からいぢわるな瞳を向ける。また、乱太郎の鼓動が高鳴っていく。

二人の口が同時に高まりを捉えた。

―――ジュ・・・ル、ビチャ・・・

「は・・・ん・・もぅ・・・」

「もう限界？乱太郎、口が止まってる。」

きり丸の愛撫に耐えながら乱太郎はきり丸を口に含もうと必死だったが無理だった。

きり丸の手が次第にある部分へと伸ばされていく。

―――グチョ・・・ズブズブ・・・ズブ

「やぁ・・・きり丸・・・そんないきなり・・・」

「乱太郎ので濡らしてるから・・・ほら大丈夫、もう第一間接まで入ってる。」

「んぁ・・・はぁ・・・ぁ・・・ぅん・・・」

中で指を折り曲げられ乱太郎は完全にきり丸から手を口を離していた。

きり丸は乱太郎を組み敷き潤んでいる瞳を見つめた。

―――チュッ

軽く唇に口付けると乱太郎の身体がビクッと仰け反った。

乱太郎の中に入っている指が増え、より深く入り込んできたのだ。

「ひぃ・・あぁ・・きり・・もうだめぇ・・・」

「いいぜ、受け止めてやるからイケよ。」

きり丸は指を抜かないまま乱太郎を咥えこんだ。

最後を促すかのようにきり丸は乱太郎の昂ぶりを擦り先端を舌で突つき吸った。

「あぁあぁぁぁ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

「結構たくさん出たな。」

乱太郎の精液で濡れた唇を舌で舐め取る光景は乱太郎の目に煽情的に映っていた。

身体の奥の疼きがきり丸を待っている。

乱太郎はきり丸の首に腕を廻し耳元で囁いた。

「お願い、きり丸が欲しいの。」

欲しくてほしくてホシクテ離したくない。

「あぁ、わかってる。俺も乱太郎の中に入りたくてしょうがない。」

きり丸は乱太郎の米噛みに唇を寄せた後乱太郎の両足を胸につくくらい上げさせた。

「乱太郎、厭らしいな・・・すごいヒクツいるぞ。俺を誘ってる。」

「・・・だってぇ・・・はやくぅ・・・きり丸が欲しいから・・・・ハッン・・・ぃぃ・・・」

乱太郎の精液ときり丸の唾液によって濡らされたソコはいとも簡単にきり丸を飲み込んでいく。

「も・・っとぉ・・・おくまで・・・きてぇ」

乱太郎の望むままきり丸は腰を進めていく。そして奥まで到達した時より奥まで行くために勢いをつける。

きり丸の肉棒が乱太郎の内肉を擦る音が淫靡な響きとなって乱太郎をより高まらせていく。

きり丸をいつまでも離したくなくて傍にいて欲しくて・・・だけど寂しくて。

いつか自分から離れていくであろうきり丸に縋りつきたくて。

あの夢は恐くはないの・・・只・・・寂しくなるの。

その言葉は声にはならない。

抱かれている時乱太郎はきり丸をより身近に感じる。まるで溶け合うかのような錯覚が心地良い。

だけどその分終わった後、胸に穴が空いたみたいに虚しくなる。

「俺は乱太郎から離れないから・・・安心しろって。」

信じたいのに信じられない。信じられるのは今感じてる温もりだけ。

だから、乱太郎は憧れと尊敬と少しの劣等感を胸に抱きながら今日もきり丸の寝床に潜り込む。

終了

イクタさんからのリクエストでした。

乱太郎って絶対自分の魅力に気がついていないんでしょうね。

乱太郎寄りの文になってるからわからないと思いますが実はきり丸の方が不安でたまらないはずなのです。

焦がれて鳴くのは乱太郎だけど、求めさせて鳴かせるのはきり丸なんです。

あぁすいません、なんか意味不明な説明です：汗

でも、そう考えるときり丸って卑怯かな。結局乱太郎にだけ求めさせてるもんな。

まぁ、そう書いてるのは私なんですけど・・・。

イクタさんに楽しんでいただければ幸いです。

リクエストありがとうございました。