習慣
乱太郎がきり丸を抱きしめだして、かなりの月日が過ぎた。
段々と乱太郎がきり丸を抱きしめる回数は減っていった。
それは、きり丸がうなされなくなったからだ。
それは、良いことだ。
しかし、乱太郎に抱きしめられることに安堵を覚え慣れてしまったきり丸は、物足りなく感じていた。
『なんで最近は、抱きしめられてないんだろう？』
そんなことを思いながらきり丸が乱太郎を見ていると、乱太郎がきり丸の視線に気がついた。
乱太郎は、ふんわりと笑った。
「なぁに、きり丸」
「ん、別に」
乱太郎の笑顔に自分の鼓動が少し早くなったのを感じたきり丸は、決意した。
夜、きり丸は、隣で眠る乱太郎をジッと見ていた。
乱太郎は、寝息をたてて眠っている。
しんべヱは、完全に夢の中だ。
きり丸は、ゆっくりと乱太郎の布団へと体を潜り込ませた。
そして、乱太郎をゆっくりと抱きしめ自分の方に引き寄せてみた。
「・・・この感触がいいんだよなぁ」
そう呟きながらきり丸は、乱太郎の色素の薄い緋色の髪に顔を埋めた。
「ん・・きり丸？」
乱太郎がきり丸の腕の中で身動ぎ、薄っすらと目を開けた。
「なぁ、乱太郎。このまま眠ってもいいか」
きり丸は、乱太郎を抱きしめる腕に少しだけ力を入れた。
乱太郎は、眠たそうにきり丸の顔をジィッと少しの間見て、ふにぁと笑った。
「・・・いいよぉ」
そして、すぅーっとまた目を閉じた。
乱太郎の返事にきり丸は、心の中で叫んだ。
『おっし！』
そして、この日からきり丸は、乱太郎を抱きしめて眠るようになった。
それは、いつしか二人の習慣になっていったのは言うまでもないだろう。
終了
平成21年10月23日
はいっ、短いですねぇ：苦笑
しんべヱは、そんな二人を見守っています：笑