夏は暑いに決まってる

だぁ、なんでこんなに暑いんだろう。

動くのも嫌でジッとしてるんだけど、それでも暑い。

そうでなくても暑いのに、なんでこの人はこうもくっついてくるんだろう。

「あっつい！」

「暑いねぇ。」

「本当にそう思ってますか？」

「思ってるよ。」

絶対に嘘だ。暑いんなら私にこうもベッタリ出来るはずない。

しかも、汗一つかいてないなんて身体の機能がどっか壊れてるんじゃないですか。

「忍者たる者、自分の身体も制御出来ないとね。」

そうやっていつも私の心の声に返答しないで下さいよ。

あぁ、余計に暑く感じてきた。

「乱太郎。」

「なんですか。」

「こうされるの、嫌？」

そうやって寂しそうに囁かれて私が素直に『嫌』なんて言えると思いますか。

「ねぇ、乱太郎。」

私の答えなんてどうせ知ってるくせに、そんな甘えた声出さなくてもいいじゃないですか。

「嫌？」

更にギュウッと私を抱き締める腕を強くしてより擦り寄って来て・・・本当に私暑いんです。

だけど、跳ね除けることなんて私には出来ない。

「嫌じゃないですよ。ただ暑いだけです。」

あなたに抱き締められて擦り寄られて、暑いのにより熱くなってしまう。

「それじゃ、もっと熱くなろうか。」

私の返答も聞かずどうしてあなたは、いつもそうやって行動に移すんですか。

あぁ、でもあなたの冷たい手が肌に伝わって気持ちがいい。

だけど、それもすぐに熱くなるんだよね。

本当に貴方は、涼しい顔しているから私一人だけが熱を帯びているみたいで恥ずかしいんですよ。

「一緒に熱くなりましょう。」

「そんなの当たり前だろ。」

当然のように私の耳元に囁いてくれる声に私の熱は更に上昇した。

夏は暑いに決まってる。

貴方の傍にいると、その暑さでさえ心地良い熱さになる。

この熱さを存分に味わったら一緒に水浴びしましょうね。

きっと私は立てないと思うから貴方が抱き上げて運んで下さいよ。

終了

平成18年8月9日

乱短文へ

暑いんです。

ただそれだけで書いた短文です。

乱ちゃんの相手は、多分年上だと思うんやけど皆様のご想像にお任せします。