ある日の昼休み
「ねぇ庄左エ門見て。」
「えっ？」
乱太郎が窓枠に肘を乗せてその窓の下を見ていた。
そこではきり丸がくの一の女の子から思いを告げられている真っ最中だった。
「またか。」
庄左エ門が呟く。
乱太郎が笑いながら、その呟きに言葉を返した。
「そう、まただよ。きりちゃんってもてるよね。」
一年生の頃とは違い四年生となったきり丸は他の皆と比べても群を抜いて背格好が成長していた。
「結構きつく断るのにね。」
「きりちゃんは、まだ小銭が一番なのかな？」
『乱太郎って、いつも一緒にいるのにきり丸の気持ちに気づいてないんだよね。僕の気持ちにも、そんな所が好いんだけど。』
心の中で呟く庄左エ門。
そう言って二人が仲良く笑っていたら、さっきまで下にいたはずのきり丸が乱太郎に抱きついた。
「何二人で仲良くしてんだよ。」
乱太郎は乱太郎で別に振りほどきもせずに、ニッコリと笑って答えた。
「ひ・み・つ。」
「ふーん。まぁ別にいいけどね。で、何で今ここに乱太郎がいるわけ？」
きり丸は、眸を細め、さも不思議そうに言った。
「ほぇ？？？？」
乱太郎は、首を可愛らしく傾げいきなり叫んだ。
「あっ！今日、私保健委員の当番の日だ。」
そして、慌てて廊下に飛び出していった。
・・・この後きり丸が残った一人に詰め寄ったのは言うまでもない。
哀れな庄ちゃん。
庄ちゃん談：きり丸はいつも隣にいるんだから、たまに僕が隣にいてもいいじゃないか。
終了
平成12年１２月５日