「気持ちいいね！！」

幸せそうに目を細めた。

夏の過ごし方

「あつ・・・」

梅雨時の寒さも遠くなり。

季節は夏真っ盛り。

連日の強い日ざしが地面を焼いて、昼間は外にでたくなくなるほど。

かといって、部屋にいるから涼しいというわけでは全くなく。

ただだれているだけ。

「あ・・・っちぃ・・・」

口を開けば同じ言葉しかでてこなくて。

そのたびに虚しさが沸き起こる。

皆は近くの川に遊びに行った。

行かなかったのは、なんとなく、だったのだけれど。

（行けばよかったかな・・・）

ぼうっとする頭で考えて。今更行っても仕方がないと思って。

（・・・裏山にでも行くかな・・・）

あそこなら木もあるし、少しは涼しいかもしれない。

そう思って、重い体を持ち上げた。

裏山の奥。人があまり入ってこない辺りまで入って、ようやく見つけた大きな木の下。

思っていたよりもずっと涼しくて気持ち良くて。

下草の上に横になる。

木漏れ日がきらきらして、でも眩しいわけじゃなくて。

あんなに熱くて、息をするたびに辛いくらいだった風も心地よく感じて。

来るのは大変だったけれど、それだけの価値があると思った。

そのまま眠くなってきて。そういえばここのところ暑くてあまり寝てなかったと思い当たり。

時刻は午後をいくらか過ぎたあたり。

夕方まで帰ればいいだろうと思い、そのまま眠りにおちた。

ふっと、人の気配。

目が覚めて。

「あ。起きた？」

「・・・乱太郎！？」

誰もこなそうなところを選んだのに。

しかも、乱太郎は皆と遊びに行ったんじゃなかっただろうか。

そう尋ねると。

「みんなと一緒に行ったけど、川には行ってないよ。この先に私の秘密の場所があるんだ」

そこから帰ろうとしたら、いたから。

そう、笑って。

「そうだ！兵太夫にも教てえあげる！」

手を引かれて、そこだけすごく熱くて。

熱いけど、離したくはなくて。

そのままついていく。

奥へ。さらに奥へ。

どんどんと進んでいって。

だんだん、ごーーーっ、ていう音が大きくなって。

「ついたよー！！」

目の前には大きな滝。

たくさんの水が流れ落ちて。水飛沫が離れてたっている自分達のところまで飛んできて。

「すっげ〜・・・」

「え〜！？なに〜！？」

滝の音が大きくて、かなり大きな声をださないと聞こえなくて。

「すっごいな！！」

そう思って。心から叫んで。

「気持ちいいね！！」

目を細めて、猫のように。

十分に滝を堪能した後、またあの木陰に戻って二人寝転んだ。

耳が変だとか、気持ちいいとか言いながら。

いつの間にか夕暮れになって。

二人並んで帰っていって。

暑い暑い毎日に、ちょっとのどきどきと、二人だけの秘密。

夏の暑さは嫌いだけど。

こんな夏の過ごし方もいいかもしれない。

ＥＮＤ

貴夜しのさんから暑中見舞いでいただきました。

リクを募集されていたので速攻リクしてしまいましたよ♪

なんでかわからないんですけど私は兵乱が好きなんです。

あぁ兵ちゃんが羨ましい私も森林浴したい。

そして滝を眺めたい・・・乱ちゃんと二人で（爆）

しかし二人が良い雰囲気で楽しかったです。

乱ちゃんってば皆は誘わなかったのに兵ちゃんは誘うのね（フフ）

本当に素適文をありがとうございました。