どこが好き？

「好きだ」
呼び出され、人気のないところに連れてこられ。
言われた言葉を冗談ですませるには相手の目は真剣で。
「・・・ごめん」
うつむいて、そう言うのが精一杯だった。
そうとしかいえなかった。
だって、自分の中には･･･。
「知ってる。土井先生と付き合ってるんだろ？」
「！？」
言われた言葉に驚いて。
それでも、相手のまなざしは真剣なままだったから。
「・・・うん」
誤魔化すことなんて出来なかった。
・・・したくなかった。
「そっか」
「うん」
肩の荷が下りたような顔をした相手に、ただうなずくことしか出来
なくて。
それでも。
この気持ちに嘘はつきたくないから。
「なあ、土井先生のどこが好きなんだ？」
「どこって・・・」
ふっと遠くを見るように視線をとばす。
「えっと・・・」


器用に動く指。
髪をなでてくれる大きな手。
広くて頼れる背中。
すっと通った鼻筋。
優しく私達を見守ってくれるまなざし。

みんな好き。


でも。


二人っきりのときだけ聞ける甘い、優しい声。
自分だけを見てくれるまなざし。
柔らかい唇。
すっぽりと身体が入る、安心できる腕の中。
力強い鼓動。
息遣い。

それは、もっと好き。


そう言うと、相手は照れくさそうに笑って。
「･･･聞かなきゃよかったかもな」
のろけられた、と一言。
そんな気はなかった乱太郎がきょとんとしていると。
「ありがとう、乱太郎」
「へ？え、あ、うん」
どうして礼を言われたのか分からないけれど。
なんとなく返事を返す。
その様子がまたおかしいのか笑って、何かに気がついたように。
「ほら、土井先生が来た。行かなくていいのか？」
「え、あ、うん。えっと・・・」
「このことは内緒な。今までどおりに行こう」
「うん・・・それじゃ」
パタパタとかけていく乱太郎。その様子を見送って。
「･･･あんなの聞かされたら、諦めるしかないよな･･･」
苦笑い。
でも、それは仕方がないと思った。
自分じゃきっと勝てないだろうから。
「さって、と。これからどうしよっかな・・・」
掠めた視界の端に映る、抱きしめあった二人の姿。
その強さに、自分が入る隙間が全くないことを思い知らされて。
でも・・・。
「あいつが幸せならな」
きっと、このままがいいんだろうな。

終了

貴夜しのさんから頂きました。

はぁ〜乱ちゃんの無意識の惚気が最高に読んでて恥ずかしかったです。

私が照れてどうすんよって感じですが照れてしまいましたよ。

乱ちゃんが本当に半助さんのことが好きなのが伝わってきました。

気になるのは乱ちゃんに告白した人が誰かということなんですが・・・

貴夜しのさんに逃げられてしまいました。

私の俊足（笑）をもってしても追いつけませんでした（おいおい）

本当に私の我侭なリクにお応えいただきありがとうございました。