流れ雲

穏やかで

時折吹く風が心地よい

そんなある日、乱太郎は一人寝転んでいた。

サワサワと揺れる葉の音に乱太郎の意識もトロォンとしてくる。

次に乱太郎が目を開けた時

乱太郎の隣には、五年の竹谷八左ヱ門がいた。

寝転がる乱太郎の隣に座っていた竹谷は、空を眺めていた。

乱太郎もゆっくりと空に目をやると雲がゆっくりと流れていた。

そして次に乱太郎は竹谷の重量感のある髪に目をやった。

風に揺れる髪を見ていると視線に気がついたのか竹谷が乱太郎の方に振り向いた。

「起きたか、乱太郎」

にっこりと微笑まれ乱太郎もふにゃ〜っと笑った。

「いつからいたんですか？全然気がつきませんでした」

「そうだろう」

竹谷は、ニコニコと笑って乱太郎の頭を撫でた。

乱太郎もそれが心地よくて更に深く微笑んだ。

「竹谷先輩、空を見ていたんですか？」

「ん？あぁ、雲をな」

二人の視線は、今は空の雲に向いている。

「・・・掴みどころがないなぁ、って思ってね」

竹谷は、起き上がった乱太郎を軽く抱き上げ自分の膝の間に座らせた。

そして、自分と向かい合わせになった乱太郎をギュウッと抱き締めた。

「うん、乱太郎はしっかり掴めるし、抱き心地もいいな」

竹谷に抱き締められることが大好きな乱太郎は、その言葉が嬉しかった。

しかし、乱太郎には不安もあった。

自分は、竹谷をちゃんと掴まえられているのだろうかと思うのだ。

掴まえたと手を伸ばしてもすり抜けていくことがある。

「竹谷先輩は、雲みたいですね」

乱太郎は、その言葉を飲み込んだ。

竹谷は、責任感が強くて簡単に助けてくれるだけじゃなくて優しく見守ってくれる強さを持っているのだ。

ちゃんと自分の成長を見守って促して答に導いてくれる。

「ううん、雲じゃなくて竹谷先輩は、空ですね」

「ん？」

乱太郎の言葉の意味が分からなくて竹谷は、首を傾げた。

しかし、乱太郎がニコニコと笑っていたので竹谷も深く考えることを止めて微笑んだ。

「竹谷先輩大好きです」

「俺も乱太郎が大好きだぞぉ」

竹谷、乱太郎の前髪をかきあげながら露わになった額に唇を落とした。

乱太郎も恥ずかしそうに嬉しそうにそれを受け止めた。

穏やかな風が二人に触れながら空へと通り抜け雲を流していく。

終了

平成26月6月1日

けいとさんからのリクエストでした。

竹谷は、乱ちゃんが可愛くてしょうがないのです。

しかし、甘やかしすぎないのが竹谷なのです。

けいとさんに楽しんでいただければ嬉しいです。

アンケ−トに答えて下さりありがとうございました。